ギアス長編【題名未定】 2008/02/20 (Wed)

コードギアス
クロス作品





前回更新した作品の続きです。
注意書きしたように見切り発車の作品ですので、細かい設定が気にならない方は続きへどうぞ。

　ルルーシュは耳を疑った。
　ナナリーの言葉を信じれば、自分は一日彼女と共に居たということになる。
　しかしルルーシュの記憶に間違いがなければ、自分はナナリーの傍に居なかった。
　何故なら、自分は前日からブリタニア軍を相手に戦闘をしていたからだ。

　しかしナナリーが嘘をつくとも思えないルルーシュは、ふと、馬鹿げた事を思い浮かべた。
　もしかしたら、自分は夢を見ていたのでは？
　ギアスなどという超常的な力など最初からなかった。
　今までのものは、自分の憎悪が見せた幻だったのではないだろうか。

　無論、そんな事がある筈も無い。
　確かに自分は覚えている。
　義兄であるクロヴィスを殺した時の血のニオイ。
　義妹であるユーフェミアを撃った時の、あの張り裂けそうな胸の痛み。

　――そして、魔女C.Cと交わした契約。

　あの全てが幻？
　冗談ではない。あれは紛れもなく現実（リアル）だった。
　ではナナリーが嘘を？
　それもまた、ありえない。
　ルルーシュの知るナナリーは、過去に一度も嘘をついた事はない。

　では、この状況は一体何なのだ？
　そんな混乱した状態だったからだろうか。
　思わず、突拍子も無い事を聞いてしまったのは。

「ナナリー、今日は一体何時なんだ？」

　ナナリーはルルーシュの質問に、キョトンとした顔を見せた。
　可愛らしく首を傾げる様子を見て、思わずルルーシュの口元に笑みが浮かぶ。

「ほんとに、変なお兄様」

　今度こそ、ルルーシュは絶句した。
　先程自分が考えた事よりも、突拍子も無かった。

「………」
「お兄様？」

　今日この日こそ。
　この日こそが、ルルーシュと魔女の出会った、運命の日であった。
　慌てて窓の外を見る。
　暗い。見る限り、深夜のようだ。

　何の冗談だろうか。
　まだ先程自分が考えた、今までの事が夢であった、という方が現実味があった。
　時間が巻き戻っている（……）？

「ナナリー、すまなかったな。起こしてしまった様で」
「いいえ、お兄様。それより今日の午後の約束、大丈夫ですか？」
「午後の約束？」

　ルルーシュは首を傾げた。
　ここが本当に過去ならば、この日は特に約束はなかった筈だからだ。

「お兄様、本当に大丈夫ですか？
　一緒に買い物に行く約束です。
　お兄様の体調が優れないのなら、また日を改めましょう？」

　初耳だったが、もしかしたら自分が覚えてなかっただけかもしれない。
　自分の事を心配そうに見るナナリーを見て、ルルーシュは笑みを浮かべた。

「いや、大丈夫だ。ちょっと夢見が悪かっただけだから、午後は約束通りに出かけようか」
「はい、お兄様」

　ルルーシュはナナリーを安心させるように髪を撫でる。

「さ、部屋まで送るよ。まだ時間も早いし、もう一眠りすると良い」
「……お兄様。このまま一緒に寝てはいけませんか？」
「ナナリーが望むなら。狭くなるけどいいかい？」
「構いません」

　ルルーシュはナナリーを抱くと、自分が先程まで寝ていたベッドに彼女を運ぶ。

「お兄様と一緒に寝るの、久しぶりです」
「そうだな。アッシュフォードに来てからは別々だったからな」
「ふふ、少し嬉しいです」
「お前が喜んでくれれば、俺も嬉しいよ」

　この時にもなると、ルルーシュの頭からは色々と考えるべき事は抜け落ちていた。
　元々ナナリーの為に行動していたのだから、彼女の事を優先するのは当然といえた。
　しかしすぐに代価を支払う事になるとは、この時のルルーシュは知る良しもなかった……。

To Be Continued…